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【平成25年度四国地方発明表彰】

特許庁長官奨励賞
氏名: 本田 克久
会社名: 国立大学法人愛媛大学
(元 三浦工業株式会社)
部署・役職: 農学部 教授
(元 三浦環境科学研究所 所長)
発明の名称: PCB分析用精製剤
  特許第4538615号【受賞発明の内容】
本田 克久様
発明のポイントをお教えください
本発明は、絶縁油中に含まれるPCB を機器もしくはバイオアッセイによって測定する前段の工程で使用する精製剤とその精製方法です。PCBが混入した使用済み絶縁油には、8種類(JIS1~7、DOP)あり、この中からPCBを簡便かつ迅速に精製し、しかも、高効率で抽出することは大変難しかったのですが、これらの課題を解決したのが本発明の精製剤です。精製剤は3種類の材料からなり、硫酸シリカゲル及び複合金属の硝酸塩シリカゲルによる測定妨害成分の除去、そして、アルミナによるPCBの少量濃縮が効率良く行えることです。
苦労した点はどこでしょうか
PCBを分解することなく、多種類の成分を含む絶縁油の中から精製して抽出することは難しいとされてきました。絶縁油は、いくつかの成分の混合物や成分の酸化物を含み、これらの絶縁油にほぼ完全に対応できる精製法を硫酸シリカゲルと複合金属の硝酸塩シリカゲルによる精製技術で完成することができました。中でも、複合金属の硝酸塩シリカゲルは、妨害成分を酸化・吸着できる優れた精製能力を有します。この材料を採用した着想と言えば、過去の研究経験からでしょうか。成功してしまえば“コロンブスの卵”といったところです。
受賞のご感想をお願いします
このたびは、栄ある特許庁長官奨励賞をいただきまして、本当に有難うございます。本発明に関して、ご協力していただいた方々に感謝を申し上げます。
今回の受賞発明は、「PCB精製カラム」として発売されており、多くの分析機関で使用され、簡便さと迅速性に優れていること、そして、精度の高い測定結果が得られると聞き、何よりもうれしく思っております。絶縁油中のPCBの早急な処理に向けて、「PCB精製用カラム」が益々ご利用いただけますと共に、今後も計測や処理に関する新しい技術開発に取り組んでみたいと思っております。

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