北海道発明協会会長賞

サイレージ調製用乳酸菌（特許第6807160号）

【北海道発明協会】

本間　満	雪印種苗株式会社　技術研究所　所長
北村　亨	雪印種苗株式会社　北海道研究農場　農場長

　本発明は、牛の飼料であるサイレージのサイロ（容器）開封後に酵母などが増えることで発熱、変敗（＝飼料が微生物の影響を受けて、給餌に適さなくなること）する二次発酵を抑制するために、乳酸菌のスクリーニングにより見出した、抗酵母作用を有するラクトバチルス・ディオリボランスの一群に関するものである。
　ラクトバチルス・ディオリボランスの中から選抜されたＳＢＳ－０００６、ＳＢＳ－０００７、ＳＢＳ－０００９株（実施例１～３）は、乳酸菌体内に何らかの抗酵母作用を示す物質を産生することが予想され、これらの株を添加したトウモロコシサイレージは、無添加と比較して開封直後のサイレージ中の酵母菌数が低く、開封後の酵母の増殖を抑制し、二次発酵によるサイレージ温度の上昇を抑制することが確認された（下図）。
　本発明の乳酸菌をサイレージの調製に用いることにより、乳酸発酵した良好なサイレージが得られるとともに、開封後の変敗が抑制されることで、安全性が高い飼料を供給することができ、牛の採食性が改善され、肥育牛の体重増大や乳牛の乳量増加につながる。

図：サイレージ用乳酸菌を添加して調製したサイレ
　　　ージの開封後３０℃到達時間（発熱までの時間）

選抜した乳酸菌株の電子顕微鏡写真