樹脂と金属の接合法は、古くから、接着剤による接着、機械締結が存在しますが、これらに代わる第三の接合法として、効率の向上、設計の自由度向上、そして何よりも強度や耐久性などの信頼性向上を実現することを目的に、環境負荷の高い化学的な改質を行わない、直接接合の実現を可能としました。また、特に、従来では困難とされてきた超難接着素材であるフッ素樹脂と金属を極めて強固に、かつ簡便に直接接合することを実現しました。

　超難接着材料であるフッ素樹脂は、化学的に極めて安定であり、特にＰＴＦＥなどは、加熱しても溶融流動が起こらないため、アンカー効果による接合も期待できません。樹脂の改質を行わずにフッ素樹脂と金属を接合するという難問を解決することは困難を極めました。「接合」というプロセスの中で樹脂の構造分解を引き起こし、接合によりこれを収束させ、同時に金属の理想状態を実現するプロセス実現が、最も実験による試行錯誤を必要とし苦労した点です。

　この度は中小企業庁長官賞に選出して頂き、誠にありがとうございます。本発明は長年に亘り多くのご指導をいただいた、諸大学の先生方や、本技術の基盤をお造りになられた多くの研究者の方々の先例があって実現したものと考えております。そしてなによりも、技術研究に際し、多くの支援・協力をいただいた部門スタッフや上司に心より感謝し、これからも新たな技術とそれによる「ものづくり」で社会に貢献してまいりたいと思います。