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全日本学生児童発明くふう展

答辞

 本日は、「第七十七回全日本学生児童発明くふう展」の表彰式という大変栄誉ある場に、私達受賞者をお招きいただき、盛大な表彰式を開催して下さり、有り難う御座います。
 実は、私は今回この表彰式で答辞を述べさせて頂くのは、人生で二度目になります。一度目は、八歳のときで、針が無いのに円や弧を描くことができる『無針弧ンパス』が、第七十四回全日本学生児童発明くふう展の恩賜記念賞に選ばれたときの表彰式です。その後、「無針弧ンパス」は、特許にも成りました。
 ですが、一つだけ残念なことが有ります。それは、無針弧ンパスは、いまだに実用化できておらず、世の中の役に立てていないことです。
 そのことから私は、あの受賞以来、ご評価頂いたことを誇りと励みにしながらも、本当に世の中の役に立てる発明や発見をしようと毎日を過ごして来ました。
 そのような気持ちで日々を過ごしている中、昨年は、全国的に自然災害の多い年となりました。
 そんな自然災害の多かった昨年の夏、日本全域で起きた集中豪雨の被害のニュース映像を見ていたとき、母が言いました。
 「災害が起こったらマンションだと、避難用のハシゴを使うことになるけど、お母さんは、手の力が弱いし、揺れてしまうから避難するのは難しそう。」
 それを聞いて私は、
 「縄バシゴを使って降りる時には、人の重心位置によって縄バシゴが反れ、体がハシゴの下になるので、体重を手で支えなければならなくなってしまう。」
 と思いました。そこで、
 「縄が反ってしまわず、手や腕の力が弱い人、お年寄や子供でも安心して安全に降りられる縄バシゴを作れないか?」
 と考えました。これが、避難用縄バシゴの発明のきっかけです。
 縄バシゴを、斜めに垂らすことが出来れば、階段のようになって手の力を使わなくても昇降できるようになると思いました。
 問題は、「重力によって垂直に垂れ下がってしまう縄バシゴを、どうしたら斜めに垂らせるか?」です。この課題を解決する為、考えを巡らせました。すると、頭の中に、小さい頃に見たレインボーブリッジが浮かんできました。レインボーブリッジは、沢山のロープで吊り下げられて支えられる構造になっています。
 そこで、吊り橋について、更に調べて行くうちに、ロープを斜めに張って支える斜張橋というタイプの橋の吊り方が有ることを知りました。私は、これだあ!と思いました。
 少しずつ疑問の答えを見付けたり、問題の解決を図ったりして、徐々に、試作品の構想を固めて行きました。そして、出来上がった構想に沿って、試作品を作り上げて行きました。
 試作品の実証実験をしてみようと思ったのですが、よく考えてみると、縄バシゴの長さは3メートル近く有って、家で簡単に実験できるものではありませんでした。
 そこで、父の研究所の皆さんに、実験に協力してもらいました。フォークリフトで、高い所から試作品の縄バシゴを落下させながら展開させるという実験です。
 そして、その縄バシゴを昇降することが簡単で安全かを試しました。
 ご協力頂いた会社の方々に感謝致します。
 幸運にも結果は、大成功でした。
 斜めで、楽である、ということから名前を「斜楽」としました。
 数学や物理学を応用して張力などの計算をしたり、とても大変でしたが、最後には上手く完成させられ、とても良い経験が出来ました。
 このような貴重な経験の機会を、私達に提供し続けて下さっている関係者の方々には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 私は、将来、世の中の為になる発明や発見を沢山したいと思います。
 そしていつの日か、尊敬する父やひいおじいちゃんを越える数学者や科学者、発明家に成りたいと思います。
 これからも、是非、応援して下さい。
 以上をもちまして、受賞者代表の答辞とさせて頂きます。

平成三十一年三月二十七日
聖徳学園小学校五年 道脇愛羽