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発明協会の表彰事業

平成30年度全国発明表彰 受賞発明・意匠概要(敬称略)
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21世紀発明奨励賞
高圧電性窒化スカンジウムアルミニウム薄膜の発明(特許第5190841号)
秋山 守人
国立研究開発法人産業技術総合研究所 製造技術研究部門 副研究部門長
蒲原 敏浩
株式会社ホウリン
上野 直広
国立大学法人佐賀大学 理工学部 機械システム工学科 教授
加納 一彦
株式会社デンソー 先端技術研究所 マテリアル研究部 マテリアル研究1室
担当次長
勅使河原 明彦
株式会社デンソー 先端技術研究所 デバイス研究部 デバイス研究2室
担当課長
竹内 幸裕
株式会社デンソーアイティーラボラトリ 技術企画グループ
ジェネラルマネージャー
川原 伸章
株式会社デンソー 先端技術研究所 所長

21世紀発明貢献賞
中鉢 良治
国立研究開発法人産業技術総合研究所 理事長
有馬 浩二
株式会社デンソー 取締役社長

 従来、スマートフォン用高周波フィルタは、高速通信にともなう高周波数化によって性能の限界に近づいている。そこで、薄膜バルク音響波(FBAR)共振子を用いた、FBARフィルタの開発が行われている。FBARフィルタには窒化アルミニウム(AlN)圧電体薄膜が使用されている。AlN薄膜は、弾性波の伝播速度、温度係数性能が優れているため、フィルタの圧電材料として最適である。しかし、AlN薄膜は他の圧電体と比較して、圧電性が低く高い動作電圧が必要となり、省電力化が困難で、フィルタの挿入損失が大きくなる問題もある。
 本発明では、AlN薄膜にスカンジウム(Sc)を添加したScAlN薄膜を検討した結果、AlN薄膜の圧電性を4倍以上向上させることに成功した。窒化物薄膜の圧電性向上に関する研究はこれまでにほとんど行われてきていなかった。ScAlN薄膜は、AlN薄膜の弾性波の伝播速度、温度係数性能の特性を失うことなく、圧電性を向上させることができる。これによって、ScAlN薄膜を使用したFBARフィルタでは省電力化が可能となり、挿入損失を低減できると大きく期待されている。




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